先日、株式会社朝日新聞出版の方にインタビューしていただきました。
「みんなのリアル~1億人総検証~」
Yahoo!ニュースと週刊誌AERA(朝日新聞出版)の共同企画です。
5月17日(火)に配信された記事では「小山祐介」の実名を出しています。

5月17日(火)14時13分、Yahooニュースの特集で
「みんなのリアル~1億人総検証~【ボロ雑巾になって捨てられる社畜たち】」
が配信されました。

この中で「小山祐介」と実名が出ている記事があります。あれは僕の経験談です。
株式会社朝日新聞出版様からありがたいことにお声掛けいただき、インタビューしていただきました。

《特集記事はこちら》

ボロ雑巾になって捨てられる社畜たち

〈特集記事トップ画面〉
インタビュー記事トップページ
〈記事文面〉
インタビュー記事
きっかけは、4月26日(火)10時15分に配信された、同じくYahooニュースの特集、
「みんなのリアル~1億人総検証~【仕事で私が壊れる 人生を搾取する「全人格労働」】」
を読んだことでした。

《前回の特集記事はこちら》
仕事で私が壊れる 人生を搾取する「全人格労働」

全人格労働
記事のことは友達から教えてもらいました。
タイトルを読んだ瞬間、一気に心が引き寄せられたのを覚えています。
記事も貪るように読みました。

仕事で苦しんでいる人がたくさんいる。
仕事で人格を壊される人がたくさんいる。
仕事で人生を壊される人がたくさんいる。
仕事で、命を失う人がたくさんいる。

なにもかも、なにもかも、失う人がたくさんいる。
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「仕事で私が壊れる」というテーマは、あっという間に自分を引き込んでいきました。

記事を読んだ後、最後に書いてあったんです。
記事の文面をそのまま引用させていただきます。
Yahoo!ニュースと週刊誌AERA(朝日新聞出版)の共同企画「みんなのリアル~1億人総検証」では、身近なニュースや社会現象について、読者のみなさんとともに考えます。今回のテーマは「仕事で私が壊れる」。連載の中では、読者のみなさんからのご意見も紹介します。Facebookやメールでご意見やご感想を募集中です。AERA編集部からの取材のお願いでご連絡させていただく場合があります。
メールはaera_yahoo@asahi.comまで。
僕はすぐさまメールを打ちました。
アンケートもあってそちらにも回答していたのですが、どうしても気持ちが収まらなかったんです。

自分も同じような経験をしている。その話をさせてもらえないだろうか。
自分の話が誰かの、何かの役に立つのではないだろうか。

メールの文面に全ての想いを込め、願うような気持ちで送信ボタンを押しました。
そのときのメール文面をそのまま引用します。
Yahoo!ニュース編集部
AERA編集部
ご担当者様
お世話になっております。
私は任意団体SEA-CLEAR代表の小山祐介と申します。

【仕事で私が壊れる 人生を搾取する「全人格労働」】
の記事を拝読し、メールいたしました。
アンケートでもご回答したのですが、
改めてメールでもご連絡させていただいた次第でございます。
当団体(小山個人)は鬱になってから何度も転職経験があり、
「しごととは何か?」を客観的に眺めるようになってから、
今の「日本」という国や社会、それに付随する企業に強い違和感をもっています。
自分は、組織に勤めることができない。
根本としてどこかに勤めなくてはならないのか。
鬱の経験もあって、その結論に至り、
現在は個人事業主(任意団体)を本業としての活動を検討しています。
ぜひ取材を受けたいです。いえ、受けさせてください。
自分の体験が何かの役に立つのなら本望です。
色々な経験を交えてお話できればと思っています。
個人の体験談をファイルにまとめましたので、添付いたします。
ご検討の程よろしくお願い申し上げます。
引用文の中に「個人の体験談をファイルにまとめました」とありますが、これはまた別途投稿できればと思っています。かなり長い文章になっていますので。

メールを送った翌日、知らない番号から携帯に電話がかかってきました。
不思議に思いながら電話に出ると「朝日新聞出版の者です」と声が!
メールに電話番号などの情報を記載していたので、そこから電話をくれたようです。

想いが通じたんだ!でもわざわざ電話で連絡してくれるなんて!

いただいた取材の依頼は即時快諾、当日にお会いして話を聞いてもらうことになりました。

取材に来て下さった方は本当に親切でした。

ボイスレコーダーで録音をしながら僕の話に真摯に耳を傾けてくれて。
ノートに何ページにもわたってペンを走らせてメモをとって。
何度も何度も頷きながら、時には質問をして深掘りをして、話を具現化する。
ときには思ったことを率直に伝えてくださいました。
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気付くと3時間以上話していて、自分でも驚いてしまいました。
僕のまとまりのない話にお付き合いくださった記者の方には本当に感謝していて、「記者ってすごいなぁ」と感嘆させられるばかりでした。

取材の最後、「記事は匿名でも掲載できます」とお言葉をいただきましたが、僕は実名を強く希望しました。
どんなことを載せてもいいです、ご希望があれば全てお受けします、そうお伝えしました。

その後、原稿を拝読させていただき、メールでやりとりをしながら、記事の公開までに至りました。
あれだけの記事を書きあげるのには、相当の時間と苦労がかかったはずです。
記者の皆様には本当に頭が下がります。

メールでやりとりしている間も、「匿名にはいつでも変更できますので」とご丁寧にお言葉をいただきました。
それでも、僕は実名を出す意志は変わりませんでした。
今後も記事から実名を下げるつもりはありません。

理由は、もうこれ以上隠れたくないからです。
世間からひっそりと身を隠して生きるのは、もうやめようと思ったからです。
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もちろん、匿名で記事を出している方を否定する気は一切ありません。
実名を出すのはかなりのリスクを伴うことも承知しています。

ただ、ここ最近になって、

「どうして隠れて生きなければならないのか?」
「ただ生きているだけなのに、どうして肩身の狭い思いをしていかなければならないのか?」

と思うようになったことが強く影響しています。

僕は24歳のときに鬱を発症しました。
主な原因は当時勤務していた企業での過重労働とパワハラが何ヶ月も続いたことです。

そこだけ少しお話しますね。

当時はとある企業に常駐していました。

この時点で僕は劣等感と後悔の塊になっていたのですが、追い打ちをかけるように常駐先の上司から罵倒され続けました。

「お前は小学生以下だな!使えねぇ!もう来んじゃねぇ!いらねぇから」
「頭悪ぃ!なんで何にもわかってねぇんだよ!結局俺がわかってるだけじゃねぇか!」
「仕事ができてないのはお前の才能が無いのと、ミスしただけの話だろ。時間がないとか言ってねぇでとっととやれよ」
「テメェのことなんかいつでもクビにできんだからな。覚悟しとけよ。すぐにクビにしてやっから」

どんなによくても終電帰りで、ほとんど徹夜でした。

どうしようもなくなって、カプセルホテルに泊まることも多かったです。
自宅に帰ることもままならず、最長で3泊4日しました。
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休日出勤も当然でした。
休日出勤が続いたある日、上司からメールが送られてきました。
「休日出勤がバレないように打刻するな」という指示のメールです。
詳細は忘れましたが、休日出勤は日数が決まっていて、それを超えると法に触れてしまうからです。
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またあるときは常務クラスの人が「いやぁー、ねぎらいに来たよ」とニコニコ顔で職場にやってきました。
何をしに来たかと思えば、リポビタンDを1ケース持ってきただけで、そそくさと帰っていきました。

非常に汚い言葉を使いますが、頭がおかしいんじゃないかと心底思いました。
リポビタンDを持ってきたところで解決になりませんし、もっと働けと言っているようなものだったからです。

どう考えてもおかしいと思いながらも、会社に逆らう勇気がなく、クビになる恐ろしさからただただ指示に従うだけでした。

社員が一人抜け、また一人抜け。最終的に僕一人が常駐先に残りました。
何かあるたびに罵倒してくる上司と一対一でやりとりしなくてはならなくなったんです。
来る日も来る日も、かかってくる電話に、電話をかけたときに返ってくる言葉に怯えました。
少しでも不備があろうものなら「ふざけてんじゃねぇぞ!」と電話越しに罵倒されました。

心身共に摩耗し、このままでは本当に死んでしまうと真剣に考え、直属の上司に訴え出ました。

しかし、返ってきた答えは

「大したことしてないだろ!」
「何にもできてないくせに、甘えたこと言うな!」
「ミスばかりじゃないか!」

の一点張り。評価制度でも最低のC評価を受けました。

どうしようもなくなって心療内科を受診し、休職願を出したのですが、急に言われても困ると返されて、結局休職できるまで1カ月半ほどかかりました。
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休職後、復職も試みました。
しかし、復職用に与えられた課題は当時の僕にはとてもできるレベルではありませんでした。
確かメールが自動配信するシステムをプログラミングするという課題です。
僕は試験工程を主にやっていたので、プログラミングは研修でC言語をやった程度です。
何をどうすればいいのかもわかりませんでした。

何日かして面談が設けられ、
「この業務は今の僕には無理です。できることからやらせてください」
と正直に申し出ました。

そうすると、人事部長がいきなり怒鳴り始めました。

「何を甘えたこと言ってるんだ!パワハラなんて当たり前だろ!」
「俺の時代なんか当然のように受けてきたぞ!」
「そんなことも我慢できないで好き勝手言ってんじゃない!」
「言われたことをやれ!出来ないなら辞めろ!」

事実上のクビ宣告でした。

その後、指示されるがままに離職票を書きました。いま考えると言葉巧みに自己都合退職にさせられたんです。
離職票を書いた後、退職の挨拶を上司にしました。

上司は言葉を一つも発しませんでした。
コクッと首を動かし、頷いただけ。
あのときの冷めた目を、僕は今でも忘れません。

他にも書きたいことはたくさんあるのですが、それはまた別の機会にしておきます。

いまの日本の企業で、健全な職場環境が保たれているところはほとんどないでしょう。
何かしらでひずみが生じています。

メディアで取り沙汰されているのは氷山の一角です。殆どは表面化していません。

どこも理不尽や不条理に満ち溢れていて、それを何が何でも我慢しなければならないという暗黙の了解が成り立ってしまっています。

鬱に対するの無理解も非常に辛いです。
僕の以前の上司を例にするならば、我慢するのが当然の社会人生活を送ってきたが故に理解は難しいと思っています。
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また、非常に悔しいことですが、鬱を患った人間を雇ってくれる企業はまず存在しません。

父親にも言われたことがあります。

「病気の人間の雇ってくれる企業が一体どこにあるんだ!」と。

言われたときは憎しみで考えるどころではありませんでしたが、現実を見つめると確かに的を射ています。
「いま鬱を患ってまして」と面接で言おうものなら、即不採用です。

僕もいままでひた隠しにして生きてきました。

これが日本という国の、社会の、企業の現実です。

でも、もうやめたんです。

鬱をひた隠しにすることも。
身をひそめて、肩身の狭い思いをしながら生きるのも。

鬱になった人は、自ら望んでなった訳じゃありません。
好きで鬱になった訳じゃありません。
誰だってならないで済むなら、なりたくないです。

辛い。苦しい。死にたい。
そんな思いなんて誰だってしたくないし、望んでもいないです。

鬱の人は、頑張ってきたんです。頑張っているんです。
頑張って、頑張って、頑張り抜いて。
我慢に我慢を重ねて生きてきたんです。

結果、心身が悲鳴を上げ、発症したんです。
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精神科医の蟻塚亮二氏の言葉を引用するならば、「土俵の俵に足を引っ掛けて踏ん張っている状態」です。
辛いながらも、必死に、どうにか堪えて生きようとしているんです。

それなのに。

どうして申し訳ない思いをしながら生きなければならないのですか?
どうして世間の目に触れないように生きなければならないのですか?
どうして身をひそめて、息をひそめて生きなければならないのですか?
どうしてバレないように、コソコソ隠れるように生きなければならないのですか?

どうして肩身の狭い思いをしながら生きていかなければならないのですか?

なんとか生きようとしているのに。
抗うつ薬や精神安定剤に頼ってでも生きようとしているのに。
それが廃人だと、異常だと一方的に否定されなければならないのですか?

好きで自分を否定している訳じゃありません。
好きで生きていても仕方ないと思っている訳じゃありません。

鬱を否定することは、鬱に限らず病気を否定することは、その人自身を否定するのと一緒です。
人間を、人間として生きることを否定するのと一緒なんです。
否定をされるたびに、人は自分はダメな人間なんだとどんどん意識に刷り込まれていきます。

鬱になるのは弱い人間だからだというのは、一体なぜなのですか?
罵詈雑言を浴びに浴びて、正気を保っていられなければ異常なのですか?
だとしたら、人間の「強い・弱い」とは一体何なのですか?

精神的に追い詰められて。
我慢しろ、悩むな、くよくよしてる暇があったら前を向けと言われて。
それが出来なければ、単に「情けない・みっともない・くだらない」人間なのですか?

どうして鬱を患ったら、病気を患ったら、心身ともに疲弊したら、社会的に抹消されなければならないのですか? 

何度でも言います。

鬱になった人は、病気を患った人は、頑張ってきたんです。頑張っているんです。
我慢に我慢を重ねてきたんです。
自分なりに、どうにか、なんとか生きようとしているんです。

それがなぜ異常なのですか?
ならば健常とは一体なんですか?

僕は伝えたいんです。

鬱になったことは異常でもなんでもない、廃人でもないです。
れっきとした人間です。人間として価値をもっています。生きる権利を持っています。

それをどうして奪おうとするのですか?

生きているだけで迷惑者ならば、迷惑をかけるなと言うならば、極論死ぬしか方法がないです。
無駄と感じているのなら、無駄と排除したいのなら、死ねと言っているのと一緒です。

生きることがどうして許されないのですか?

鬱になっても、死にたくなっても、どうにか、なんとか生きようとしている姿は尊いんです。
生きることは、人間は、尊いんです。

最後は、朝日新聞出版の方に送ったお礼のメールを引用して終わりたいと思います。
お世話になっております。
任意団体SEA-CLEARの小山祐介です。

さきほど記事を拝読しました。
こうして取り上げていただいたこと、とても光栄に思います。

本当にありがとうございます。

一緒に記載されていた記事も併せて、感想をお伝えさせてください。

同じ境遇の方がたくさんいること。
自分以上に辛い経験をしておられる方がいること。
声を出すこともできずに、亡くなっていった方がたくさんいらっしゃること。
心に湧きあがってきたのは、強い危機感でした。

これだけの苦痛を味わって、心身ともに消耗していく人がいる。
壊れていってしまう人がいる。
その事実が確かに存在するのに、一向に状況は改善されていかない。
我慢することが当然だ、それが社会だ、それが自然だという常識や世間体を提示して。
私達大人が、社会が、
「どんなに嫌なことでも我慢して続けるのが当然。それが仕事だ」
という考え方を持っていたら、ずっと社会は変わりません。
私達が生きているうちに、日本は崩壊します。

自分のしたいことを、自分のやりたいことを仕事にすることに、日本人はなぜか強い違和感や拒否感を示します。

それは仕事ではない、仕事として認められない、それは異常だ、常識に反しているのだと。

自分のやりたいことが仕事にできないのであれば、人間はこれからどうやって生きろというのでしょう。

国の政治や教育で「そんなことはできない。夢物語だ。企業に勤めて働け」とサラリーマン(兵隊)思考を植え付けられている。

サラリーマン育成所や量産工場が至るところに存在し、それが正しいのだと謳われている。

いまの日本は異常です。本当に異常です。日本という国の恐ろしさを強く感じています。

だからこそ、私達は変わらなければなりません。私達は訴え続けなければなりません。

この記事は、日本で起こっている恐ろしい事実と、その事実に対して問題提議しています。

いまの日本に違和感を覚えるきっかけになります。この効果は大きいです。
これは、とても意義と価値のある記事です。

僕も自分の経験を通して、訴え続けていきます。

国に殺されてはいけない。
社会に殺されてはいけない。
企業に殺されてはいけない。
人に、殺されてはいけないと。

記事に参加できたこと、本当に感謝しています。
ありがとうございます。
自分のために生きよう
~『生きる』を全肯定する~
任意団体SEA-CLEAR代表
小山祐介(コヤ)
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